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THE JAZZ TAXI

あるメルマガ(転載可)に載っていた文章です。

ちょっとこういうのって良いなぁ…と感じたので…。




■ 毎晩感動を売っている個人タクシー

 『THE JAZZ TAXI』


タクシーの安売り競争が激しくなって、とうとう社会問題にもなってきています。

2002年に規制緩和が行われたために、誰でもカンタンにタクシー業界に参入できるようになったんですね。

だからタクシーの数が突然増えたんです。

さらに、価格も自由競争になった。
安売り競争が激しくなっていった。

年収が200万円に届かない運転手さんもたくさんいる。

過酷な労働条件でモチベーションの低い運転手、体を壊す運転手さんも増えて、タクシーの事故も増えている。


もう業界自体が疲弊し、崩壊寸前です。

安易な価格競争は、ここまで行っちゃうんですね。


ところで、東京には個人タクシーが何台くらいあるかご存知ですか?

約18,000台以上あります。
法人タクシーを合わせると、トータルのタクシー台数は、なんと!

50,000台以上!

そして、多くのタクシー安売り競争に明け暮れて、命を削っています。


でもそれだけあるタクシーの中で、ただ1台だけ。

大阪や北海道、九州などから、
わざわざそのタクシーに乗りに上京してくるお客さんがいる。
そんなタクシーがあるのです。

日本だけでなく、アメリカのニューヨークからもお客さんが予約してくる。

そんなタクシーです。

それは、もう還暦を過ぎた安西さんという運転手さんの東京名物タクシー

 「The Jazz Taxi」


そう世界で1台だけの、真空管アンプ搭載のジャズタクシーなんです。

音がやたらいい。
音にこだわっているんですね。

車体もタイヤも音に影響が少ないモノを使用しています。
もちろん車内で流れる音楽はジャズの名演奏ばかりです。


ま、こういうふうに書けば、素直じゃない人は、


「なんだ、ただの音のいいジャズを流しているタクシーじゃん」


と思うかもしれない。


でもこういうハードはお金をかけると、誰でもできますよね。
この安西さんのタクシーがすごいのは、ハードだけじゃないんですね。

ソフトがすごい!

特に人気メニューになっている 

「ジャズクルージング」


東京の、夜景が抜群にきれいなスポットを、素晴らしいジャズを聴きながら、クルージングするメニュー。

これはホント、感動ものです。


タクシーが「モノ」を売っている状態というのは

『A地点からB地点への移動手段』

ということですよね。



ところがこのジャズタクシーは「モノ」を売っているわけではありません。
カンタンに言うと「感動体験」を売っているんです。

「誕生日」
「プロポーズ」
「送別会」
「結婚記念日」

   などなどの

 お祝いや特別な日にこのタクシーは利用されます。



たとえば「送別会」。


定年退職する会社員を、送別会の帰りに自宅まで送っていく。
その上司がジャズ好きで、部下が依頼するんですね。
上司はそのことを知らされていないんです。

送別会が終わり、退職する上司が乗り込むと、とってもいい音でヘレン・メリルの

『ユードゥ・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カムホーム・トゥ』

なんかが、しっとりと流れるんです。


するとジャズタクシーの安西さんが

「このタクシーは
 部下のみなさんがみんなでお金を出し合って、
 チャーターしてくれたんです。
 本当に素晴らしい仲間をおもちですね。
 おうちまで素晴らしい音楽でお送りします。
 長いあいだおつかれさまでした。」


するとその60歳を超えた男性が、花束を抱えたまま、男泣きするそうです。



あるいは「誕生日」。

大好きな彼女の誕生日に、このタクシーを予約する。
タクシーに乗り込み、走りだすと、突然マリリン・モンローが
ケネディ大統領のバースディパーティーで歌った「ハッピーバースディ」が流れてきます。



それにあわせ、彼氏と運転手さんが、彼女のために「ハッピーバースディ」を歌ってくれるんです。

その後は、ロマンティックな音楽と、素晴らしい夜景と、プレゼント・・・。
彼女は感動のあまり泣いていたそうです。

この「ジャズクルーズ」。

予約がなかなかとれないほどの人気になっているんです。

安西さん、とっても活き活きと楽しそうに仕事をしている。

もちろん、自然に儲かってもいる。


同じタクシーという業種でも、
これだけのことができるわけです。

もはやこれは

『差別化』ではなく『独自化』です。



最後定年退職する時に、このタクシーに乗ってこんな一言をもらったら、ボクなら間違いなく泣きますね。
全然定年退職じゃないのに、なんだかジーンときてしまいました^^
by kkko-ta | 2006-03-10 23:00 | ひとりごと
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